「施工管理技士の受験資格が変わったと聞いたけれど、自分はいつ受けられる?」
「転職したら、これまでの実務経験は誰が証明してくれる?」
結論から言うと、令和6年度(2024年度)から、第一次検定は年齢だけで受けられるようになりました。第二次検定は「第一次検定に合格したあとの実務経験年数」で判定され、卒業した学校や学科は問われません。
なお、正式な表記は「受検資格」です。「受験資格」と検索されることも多いのですが、この記事では国土交通省や試験機関と同じ「受検資格」で統一します。
以下では、国土交通省の資料と試験実施機関の「受検の手引」(令和8年度版)をもとに、1級・2級の必要年数、特定実務経験、令和10年度までの経過措置、転職時の実務経験証明を整理します。資格の種類や取り方の全体像は施工管理の資格の解説記事にまとめているので、ここでは「自分はいつ第二次検定に進めるか」に絞ります。
令和6年度から施工管理技士の受検資格はどう変わったか

改正の根拠は、令和5年5月12日に公布された「施工技術検定規則及び建設業法施行規則の一部を改正する省令」と関連告示です。受検資格の見直しは令和6年4月1日に施行され、令和6年度の検定から適用されています。
第一次検定は年齢要件だけになった
1級の第一次検定は、受検年度末時点で19歳以上であれば受検できます。2級の第一次検定は17歳以上で、こちらは従前から変わっていません。
年齢は試験日ではなく、受検年度の3月31日時点で満たしていれば足ります。実務経験の年数を待たずに、1級の第一次検定から受けられるようになった点が、現場で働く人にとって一番大きな変化です。
第二次検定は「一次合格後の実務経験」で判定される
1級・2級の第二次検定は、第一次検定に合格したあとの一定期間の実務経験などで受検できます。改正前は「大学の指定学科を卒業後3年以上」のように、学歴ごとに卒業後の年数が決まっていました。
見直し後の受検資格は、卒業した学校や学科とは関連しない要件です。年数を数える起点が「卒業」から「合格」に移った、と押さえると整理しやすくなります。
改正前後の違いを表で確認する
| 区分 | 改正前(旧受検資格・主なもの) | 改正後(新受検資格) |
|---|---|---|
| 1級 第一次検定 | 学歴に応じた実務経験が必要(2級合格者は条件なし) | 受検年度末時点で19歳以上 |
| 1級 第二次検定 | 大学(指定学科)卒業後3年以上〜学歴を問わない場合15年以上。指導監督的実務経験1年を含む | 1級第一次検定合格後、実務経験5年以上 など |
| 2級 第一次検定 | 受検年度末時点で17歳以上 | 同じ(変更なし) |
| 2級 第二次検定 | 大学(指定学科)卒業後1年以上〜学歴を問わない場合8年以上 | 2級第一次検定合格後、実務経験3年以上 など |
参考:「施工技術検定規則及び建設業法施行規則の一部を改正する省令」等の公布|国土交通省
参考:令和6年度より施工管理技術検定の受検資格が変わります|国土交通省
参考:「施工技術検定規則及び建設業法施行規則の一部を改正する省令」等について|国土交通省
1級・2級の第二次検定に必要な実務経験年数
必要な年数は「どの検定に合格したあとの経験か」で決まります。建築・土木・電気工事など種目ごとの違いは施工管理の種類(7種目)の記事で確認してください。
1級の第二次検定:5年・3年・1年の3ルート
| 年数を数える起点 | 必要な実務経験 |
|---|---|
| 1級第一次検定の合格後 | 実務経験5年以上 |
| 1級第一次検定の合格後 | 特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上 |
| 1級第一次検定の合格後 | 監理技術者補佐としての実務経験1年以上 |
| 2級第二次検定の合格後(1級第一次検定合格者に限る) | 実務経験5年以上 |
| 2級第二次検定の合格後(1級第一次検定合格者に限る) | 特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上 |
すでに2級施工管理技士を持っている人は、2級の第二次検定に合格した時点から年数を数えられます。建築・電気工事の令和8年度の手引では、2級合格後の年数を満たしていれば、1級の第一次検定と第二次検定を同じ年度に申請できる区分も設けられています。
このほか、建築は一級建築士試験、土木は技術士第二次試験、電気工事は第一種電気工事士試験の合格後の実務経験で受ける区分もあります。年数は同じく5年以上(特定実務経験1年以上を含む場合は3年以上)で、電気工事は別途1級第一次検定の合格が必要です。
2級の第二次検定:一次合格後3年が基本
- 2級第一次検定の合格後、実務経験3年以上(建設機械種目は2年以上)
- 1級第一次検定の合格後、実務経験1年以上
1級の第一次検定に先に合格しておけば、1年の実務経験で2級の第二次検定を受けられます。1級の年数がそろうまでの間に、主任技術者になれる2級を先に取っておく進め方も選べます。
実務経験の数え方で押さえる3点
- 対象になる「第一次検定合格」は令和3年度以降の合格です。「2級第二次検定合格」は、令和2年度以前の2級技術検定合格も対象になります。
- 実務経験とは、施工計画の作成や工程管理・品質管理・安全管理など、施工の管理に直接関わる技術上の職務経験です。検定種目に対応した建設業の種類の工事が対象になります。
- 申込時点で年数が足りなくても、第二次検定の試験日前日までの見込み期間を算入できます(令和8年度の建築・電気工事、1級土木の手引)。見込んだ経験を積めなかったときは、試験日前日までに申請の取り下げが必要です。
建築・電気工事の手引では、設計・積算・営業・事務・保守点検などの業務や、入社後の研修期間は実務経験として認められていません。積算や営業の部署にいた期間がある人は、その分を除いて計算します。
参考:令和6年度以降の技術検定の基本的な方針について|国土交通省
参考:令和8年度 1級建築・電気工事 受検の手引(新受検資格)|建設業振興基金
参考:令和8年度 2級建築・電気工事 受検の手引(新受検資格)|建設業振興基金
参考:令和8年度 1級土木 受検の手引(新受検資格)|全国建設研修センター
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「特定実務経験」と技士補・監理技術者補佐のしくみ

1級の第二次検定を5年ではなく3年、あるいは1年で受けられるかは、「特定実務経験」と「監理技術者補佐」に当てはまるかで決まります。
特定実務経験とは:請負金額4,500万円以上の工事での経験
特定実務経験とは、請負金額4,500万円(建築一式工事は7,000万円)以上の建設工事で、監理技術者・主任技術者の指導の下、または自ら監理技術者・主任技術者として行った経験です。指導する側の監理技術者・主任技術者は、その業種の監理技術者資格者証を持つ人に限られます。
この条件を満たす経験が1年以上あれば、必要年数は5年から3年に縮まります。建築一式で請け負う戸建住宅の現場は、請負金額が7,000万円に届かなければ特定実務経験には数えられないため、その場合は実務経験5年以上のルートで計画します。
特定実務経験と認められないケース
- 指導を受けた監理技術者・主任技術者と同じ企業に所属していない場合(派遣・出向は派遣先企業に所属するものとみなす)
- 工事発注者側、または工事監理業務の受託者側の従業員としての経験
- 建設業法の適用を受けない国外の工事や、請負によらない工事
- 複数の工事をまとめて申請した実務経験に含まれる工事
申請では、その工事の監理技術者(主任技術者)の氏名と、監理技術者資格者証の交付番号を入力します。自分が主任技術者だった場合を除き、この2つがわからないと特定実務経験として申請できません。
技士補と監理技術者補佐:1年ルートの条件
令和3年度の制度改正で、第一次検定の合格者には「施工管理技士補」、第二次検定の合格者には「施工管理技士」の資格が付与されるようになりました。どちらも一度取得すると永久の資格なので、第一次検定に合格しておけば、第二次検定は実務経験がそろった年度に受ければ済みます。
監理技術者補佐とは、監理技術者の職務を補佐するために、工事現場ごとに専任で置かれる技術者です(建設業法第26条第3項第2号)。補佐を専任で置くと、同じ監理技術者が2つの工事現場を兼務できます。
補佐になれるのは、主任技術者の資格を持つ人のうち1級の第一次検定に合格した人(1級技士補)などです。受検資格として認められるのは専任で配置された経験だけで、単なる監理技術者の手伝いは対象外になります。申込みでは、自分の氏名が載った施工体制台帳の写しが必要です。
1級を取ったあとの評価は一級建築施工管理技士はなぜすごいのかで解説しています。
参考:令和6年度より施工管理技術検定の受検資格が変わります|国土交通省
参考:令和8年度 1級建築・電気工事 受検の手引(新受検資格)|建設業振興基金
参考:令和8年度 1級土木 受検の手引(新受検資格)|全国建設研修センター
参考:施工管理技術検定の令和3年度制度改正について|全国建設研修センター
参考:「監理技術者の行うべき職務を補佐する者」の要件|国土交通省
経過措置は令和10年度まで。新旧どちらで受けるか
令和5年度までの受検資格(旧受検資格)は、第二次検定に限って、選べる期間が残っています。
令和6〜10年度は旧受検資格でも第二次検定を受けられる
令和6年度から令和10年度までの検定は経過措置期間で、第二次検定は旧受検資格と新受検資格のどちらでも受検できます。建設業振興基金の手引には、令和11年度以降は旧受検資格が廃止になると明記されています。
ただし、令和6年度から令和10年度までの間に有効な第二次検定受検票の交付を受けた人は、令和11年度以降も引き続きその第二次検定を再受検できます(旧2級学科試験合格者などを除く)。
新旧どちらが早いかの考え方
| 自分の状況 | 検討しやすい受検資格 | 理由 |
|---|---|---|
| 旧受検資格の年数をすでに満たしている(例:大学の指定学科を卒業後、実務経験3年以上) | 旧受検資格 | 一次合格後の年数がたまるのを待たずに受けられる |
| 指定学科以外の卒業、高校卒などで旧受検資格の必要年数が長い | 新受検資格 | 学歴に関係なく、合格後の年数だけで判定される |
| 請負金額4,500万円以上の現場で経験を積んでいる | 新受検資格 | 特定実務経験1年以上を含めば3年で受けられる |
| 2級合格後の年数で1級を受けたい | 新旧を比較 | 旧は指導監督的実務経験1年が必要。新は不要で、特定実務経験があれば3年に縮まる |
旧受検資格の1級は、どの区分でも指導監督的実務経験を1年以上含める必要があります。新旧で実務経験の考え方そのものが違うため、旧受検資格で申請する人は旧受検資格用の手引で定義を確認してください。
選ぶときの注意点
- 申込締切後は、新・旧の受検資格を変更できません(1級土木の案内)。
- 申込方法も分かれます。令和8年度の建築・電気工事では、新受検資格はインターネット申請のみ、旧受検資格の新規申請は書面申請です。
- 実務経験の証明方法も新旧で異なります(次の章で説明)。
- 旧受検資格を使えるのは令和10年度の検定までです。
参考:令和6年度以降の技術検定の基本的な方針について|国土交通省
参考:令和8年度 1級建築・電気工事 受検の手引(新受検資格)|建設業振興基金
実務経験の証明は誰がする?転職との関係

転職を考えている人が見落としやすいのが、実務経験を誰が証明するかです。
新受検資格は「工事ごと」に請負会社が証明する
令和5年度の検定までは、申請時に所属する企業の代表者等が、過去の経験もまとめて証明していました。令和6年度以降の新受検資格では、工事ごとに、その工事を請け負った会社の代表者等、または監理技術者・主任技術者が証明するのが原則です。
工期1年未満の工事を経常的に何件も担当した期間は、原則1年以内ごとに、複数の工事をまとめて代表者等が証明することも認められています。戸建てやリフォームのように短工期の現場を並行して回している人は、この方法の対象になるかを手引で確認してください。なお、旧受検資格で受ける場合は従前どおり、申請時に所属する企業の代表者等が証明します。
転職した場合は、在籍した会社ごとに証明をもらう
建設業振興基金の手引には、転職などで証明者が複数名にわたる場合は、それぞれ証明書を作成する必要があると書かれています。つまり前職での経験は、前職の会社に証明を依頼することになります。
経過的な扱いとして、令和6年3月31日を含む工事の経験までは、申請時に所属している会社の代表者等による証明も可能です。1級土木の手引では、令和6年4月1日以降に着工した工事は、実際にその経験を積んだ期間の所属先の代表者等による証明だけが有効とされています。
転職の前後にやっておくこと・求人で確認すること
- 担当した工事の正式名称、発注者、工期、自分の従事期間、請負金額を工事ごとに控える
- 監理技術者・主任技術者の氏名と、監理技術者資格者証の交付番号を控える
- 退職前に、証明を頼む窓口(代表者か、人事権を持つ部署長か)を確認しておく
- 雇用契約書や源泉徴収票など、在籍していたことを示せる書類を保管する
第二次検定の申込みが近い人は、証明を頼みやすい在籍中に申請まで済ませるのが無難です。反対に、年数がそろうまで数年ある人は、転職先でどんな規模の工事を担当できるかのほうが受検時期に響きます。請負金額4,500万円(建築一式は7,000万円)以上の現場に入れるかどうかで、3年と5年が分かれるためです。
施工管理の求人を見るときは、資格取得支援の中身(受検料や講習費の負担、試験前の休暇)、資格手当の対象に技士補が入るか、配属される現場の工事種類と規模を確認しましょう。読み取り方は施工管理の求人票の見方で詳しく説明しています。
参考:技術検定受検資格に関する実務経験の証明について|国土交通省
参考:令和8年度 1級建築・電気工事 受検の手引(新受検資格)|建設業振興基金
参考:令和8年度 1級土木 受検の手引(新受検資格)|全国建設研修センター
よくある質問
学歴や指定学科は、もう関係ないのですか?
新受検資格では関係しません。学歴や指定学科で年数が変わるのは、令和10年度まで使える旧受検資格のほうです。
2級を取らずに、いきなり1級を受けられますか?
受けられます。1級の第一次検定は、受検年度末時点で19歳以上であれば受検できます。第二次検定は、1級第一次検定の合格後に実務経験5年以上(特定実務経験1年以上を含む場合は3年以上、監理技術者補佐としては1年以上)を積んでから受けます。
前の会社が倒産した、証明を断られた場合はどうなりますか?
証明者の所在が不明、または証明を拒否された場合は、代わりの書類で申請できます。令和8年度の建築・電気工事の手引では次の4点が求められ、すべてそろわないと実務経験の証明として認められません。
- 証明を受けられないことの理由書
- 本来の証明者に関する資料(建設業許可番号がわかる資料、または閉鎖登記簿)
- 本人と本来の証明者との関係を示す資料(雇用契約書または労働条件明示書)
- 実務経験の内容を十分に推定できる資料(出張命令書または経費精算書)
試験日や申込期間はどこで確認すればよいですか?
日程と申込期間は年度・種目・級ごとに変わるため、必ず実施機関の公式ページで最新の「受検の手引」を確認してください。
- 建築・電気工事:建設業振興基金 試験研修本部
- 土木・管工事・造園・電気通信工事:全国建設研修センター
- 建設機械:日本建設機械施工協会
参考:令和6年度より施工管理技術検定の受検資格が変わります|国土交通省
参考:令和8年度 1級建築・電気工事 受検の手引(新受検資格)|建設業振興基金

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まとめ
施工管理技士の受検資格の要点
- 第一次検定は年齢要件のみ。1級は受検年度末時点で19歳以上、2級は17歳以上
- 1級の第二次検定は、1級第一次検定の合格後に実務経験5年以上。特定実務経験1年以上を含めば3年以上、監理技術者補佐なら1年以上
- 2級の第二次検定は、2級第一次検定の合格後に実務経験3年以上、または1級第一次検定の合格後に1年以上
- 令和10年度までは、旧受検資格でも第二次検定を受けられる
- 新受検資格の実務経験は工事ごと・会社ごとに証明する。転職前に工事経歴を控えておく
受検の計画と転職の計画は一緒に立てる
いつ第二次検定に進めるかは、合格した年度と、これから担当する工事の規模で決まります。まずは第一次検定の合格年度と工事経歴を書き出し、新旧どちらの受検資格が早いかを確かめてください。
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