「施工管理って、最近は若い人に人気があるらしい」「でも人手不足とも聞くし、どっちが本当なんだろう」。どちらもよく見る話ですが、同時に成り立つようには見えません。
先に結論を書きます。「施工管理は若手に人気」と言い切れる統計は、2026年11月の時点では見つかりませんでした。建設業の就業者数は減り続けていますし、新規学卒者で建設業に就職した人の数は直近3年、毎年減っています。
ただし、はっきり逆方向に動いた数字が5つあります。29歳以下の比率、20代の賃金、1級の受検者と合格者の年齢、現場の閉所日数、入職と離職のバランスです。厚生労働省・国土交通省・日本建設業連合会の一次データで、その5つと、辞める人が多い部分を順に見ます。
結論:「若手に人気」と言える統計はない。ただし5つの数字は逆に動いた

「人気」と言えない3つの数字
人気の業界なら人が増えるはずです。建設業はその逆です。厚生労働省が令和8年3月にまとめた資料では、建設業就業者数は令和6年平均で約477万人。前年から3万人減り、ピークの平成9年平均からは30.4%減りました。
入口も細っています。文部科学省の学校基本調査をもとにした同じ資料では、新規学卒者で建設業に就職した人は令和3年の4万4千人(全産業の就職者の6.1%)から令和6年は3万8千人(5.4%)へ、3年続けて減りました。就業者の平均年齢も令和6年で45.3歳、全産業の44.1歳より高いままです。
令和7年版の国土交通白書では、2024年の就業者のうち29歳以下の割合は建設業11.7%に対し全産業16.9%。55歳以上は建設業36.7%、全産業32.4%です。「人気」はこの3つとかみ合いません。
参考:令和7年版 国土交通白書|国土交通省/建設労働をめぐる情勢について(令和8年3月)|厚生労働省
29歳以下の比率は、平成25年の10.2%を底にして戻っている
ただ、同じ11.7%を時系列で見ると話が変わります。総務省の労働力調査をもとにした推移では、建設業の15〜29歳比率は平成18年の15.0%から下がり続け、平成25年に10.2%で底を打ち、令和6年は11.7%まで1.5ポイント戻しました。
注目したいのは比較対象です。同じ期間に全産業の15〜29歳比率は19.4%から16.9%へ下がり続けました。世の中全体では職場の若手比率が減っているのに、建設業は10年以上かけて逆に動いています。
これは「人気になった」証拠ではありません。全体の人数が減ったので分母が小さくなっただけ、という読み方もできます。それでも、若手比率が底を打って戻る産業はそう多くありません。
逆方向に動いた5つの数字
若手に関係する5つの動きを先に一覧にします。根拠は次章以降で出します。
| 動いたもの | 以前 | 直近 |
|---|---|---|
| 建設業の29歳以下比率 | 10.2%(平成25年) | 11.7%(令和6年) |
| 建設業25〜29歳の月額賃金 | 27.32万円(令和6年) | 29.28万円(令和7年) |
| 1級建築の第一次検定 受検者 | 24,078人(令和5年度) | 41,812人(令和7年度) |
| 日建連会員の4週8閉所以上 | 26.3%(2019年度) | 67.2%(2025年度) |
| 建設業の入職と離職 | 離職者が入職者より多い(令和5年) | 入職超過率+1.7ポイント(令和6年) |
仕事の中身を先に知りたい方は施工管理の仕事内容と4大管理へ。この記事は「数字がどう動いたか」に絞ります。
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理由①:20代後半の賃金が、全産業の平均を上回った
25〜29歳で月29.28万円、全産業は27.94万円
厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査(一般労働者・男女計・所定内給与額の月額)では、建設業の25〜29歳は29.28万円。全産業の同じ年齢階級27.94万円より1.34万円上です。30〜34歳でも建設業33.09万円に対し全産業31.23万円でした。
この額は残業代や賞与を含まない所定内給与です。つまり残業で稼いだ分を除いた素の給与で、20代後半は全産業平均より高いということです。
| 年齢階級 | 建設業(対前年) | 全産業(対前年) |
|---|---|---|
| 20〜24歳 | 25.05万円(+4.9%) | 24.28万円(+4.4%) |
| 25〜29歳 | 29.28万円(+7.2%) | 27.94万円(+4.6%) |
| 30〜34歳 | 33.09万円(+8.0%) | 31.23万円(+4.3%) |
| 年齢計 | 36.63万円(+3.9%) | 34.06万円(+3.1%) |
上がり方が速いのは年齢計より20代・30代前半
表の括弧は前年からの増減率です。建設業は年齢計+3.9%に対し、25〜29歳+7.2%、30〜34歳+8.0%。全産業の同じ階級は+4.6%と+4.3%ですから、若い層だけ伸びが倍近い年でした。
金額で見ると、建設業の25〜29歳は令和6年の27.32万円から令和7年の29.28万円へ、1年で約2万円上がっています。人が足りない産業で、若手の採用競争が賃金に出た形です。
ただし年齢計36.63万円には平均年齢45.5歳・勤続13.7年という構成が効いています。「業種平均が高いから自分も高い」とは読めません。見るのは自分の年齢階級の数字です。
参考:令和7年賃金構造基本統計調査の概況|厚生労働省/令和6年賃金構造基本統計調査の概況|厚生労働省
理由②:19歳から1級の一次を受けられる制度に変わった

「大学の指定学科を出て実務3年」が、年齢だけになった
令和6年度から受検資格が変わりました。国土交通省の資料にはこうあります。「1級の第一次検定は、19歳以上(受検年度末時点)であれば受検可能」。学歴も実務経験も問われません。2級の第一次検定は従前どおり17歳以上です。
改正前は違いました。同じ資料の旧受検資格表では、1級の第一次検定を受けるには大学の指定学科を卒業して実務経験3年以上、高校の指定学科なら実務経験10年以上が必要でした。高校を出て施工管理を始めた人は、28歳前後まで1級の入口に立てなかったということです。
第二次検定には引き続き実務経験が必要です。1級は第一次検定の合格後に実務経験5年以上(請負金4,500万円以上の工事で監理技術者等の指導を受けた「特定実務経験」1年以上を含む場合は3年以上)、2級は3年以上。令和10年度までは改正前の受検資格でも受けられる経過措置があります。詳細は受検資格の改正をまとめた記事へ。
受検者は約1.7倍、合格者の44.5%が29歳以下
制度が変わると、受ける人が変わりました。建設業振興基金の結果表では、1級建築施工管理技術検定の第一次検定の受検者は令和5年度24,078人から令和7年度41,812人へ、約1.7倍。土木も全国建設研修センターの発表で令和7年度47,715人、令和8年度50,012人(合格者24,927人・合格率49.8%)と高水準が続きます。
合格者の年齢構成が、いちばん目を引いた数字です。令和8年度の1級土木第一次検定の合格者(第一次検定のみで申し込んだ人のデータ)の割合です。
- 19歳 1.0%/20歳 2.2%/21歳 2.2%/22歳 2.8%/23歳 5.3%/24歳 6.3%
- 25〜29歳 24.7%、30〜34歳 15.0%
- 合計すると29歳以下が44.5%
- 大学等の在学者736名、短大・高専の在学者150名が合格
- 女性の合格者は3,494人で過去最高
1級の第一次検定に合格すると「1級土木施工管理技士補」と名乗れます。20代前半で技士補になり、実務経験を積んで第二次検定へ進むルートが令和6年度に初めて開きました。若手が集まる説明としては、これがいちばん具体的です。
ただし2級の受検資格は変わっていません。受検者が増えたのは1級の第一次検定だけで、「資格全体が取りやすくなった」は言い過ぎです。
参考:令和6年度より施工管理技術検定の受検資格が変わります|国土交通省/令和8年度1級土木施工管理技術検定 第一次検定の合格者発表|全国建設研修センター/令和7年度1級建築施工管理技術検定 結果表|建設業振興基金/令和5年度1級建築施工管理技術検定 結果表|建設業振興基金
理由③:閉所67.2%と求人倍率6.72倍、そして1,938時間という宿題
現場が閉まる日は、6年で26.3%から67.2%へ
日本建設業連合会は、会員企業の現場が4週間に何日閉所できたかを毎年調べています。2026年9月に出た2025年度通期の報告では、4週8閉所以上の現場が全体の67.2%。2024年度から6.2ポイント上がりました。
推移は2019年度通期26.3%、2023年度52.0%、2024年度61.0%、2025年度67.2%。平均閉所日数も4週7.28閉所まで来ました。土木75.6%、建築59.4%で、工種差はまだ残ります。
前提は必ず押さえてください。対象は日建連の会員企業(142社中88社が回答)の、請負金1億円以上かつ工期4か月以上の現場。建設業全体ではなく大手・中堅の現場の数字です。
有効求人倍率6.72倍、入職が離職を3年ぶりに上回った
厚生労働省の一般職業紹介状況(令和8年3月分、常用でパートを除く、全国計)では、建築・土木・測量技術者の有効求人倍率は6.72倍、新規求人倍率は9.52倍。同じ月の職業計は1.17倍、情報処理・通信技術者は1.54倍です。
入職と離職のバランスも令和6年に反転しました。厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、建設業の入職者は29万4千人、離職者は25万300人。3年ぶりに入職者が離職者を上回り、入職率11.7%・離職率10.0%・入職超過率+1.7ポイントとなりました。産業計の+0.6ポイントより大きい数字です。
とはいえ入職率そのものは産業計14.8%より低いままで、「出入りの少ない産業で、入るほうが少し増えた」が正確な読み方です。
労働時間は、まだ全産業より年295時間長い
良い数字だけ並べるのはフェアではないので宿題も書きます。厚生労働省の毎月勤労統計調査(事業所規模5人以上)をもとにした集計では、令和6年の年間総実労働時間は建設業1,938時間、全産業1,643時間、製造業1,877時間。建設業は295時間長いままです。
減ってはいます。建設業の月平均総実労働時間は平成26年173.2時間から令和6年161.5時間へ。時間外労働の上限規制が建設業に適用された2024年4月を含む令和6年は、前年の164.3時間から2.8時間減りました。
| 項目 | 建設業 | 全産業 |
|---|---|---|
| 年間総実労働時間(令和6年) | 1,938時間 | 1,643時間 |
| 完全週休2日制の企業割合(令和6年) | 45.9% | 56.7% |
| 有効求人倍率(令和8年3月) | 6.72倍(建築・土木・測量技術者) | 1.17倍(職業計) |
| 入職率/離職率(令和6年) | 11.7%/10.0% | 14.8%/14.2% |
日建連会員企業の労働時間調査(2025年度)では、年間総実労働時間の平均が2,097時間、非管理監督者の年間時間外が279時間(2017年度は416時間)。削減を妨げる要因の1位は「工事量に対して従業員が不足しており、職員一人当たりの業務量が多すぎる」で70社が挙げています。人手不足は賃金を押し上げる一方、残った人の業務量も押し上げます。詳しくは施工管理の残業と休日を統計で見た記事へ。
参考:週休二日実現行動計画 2025年度通期 フォローアップ報告書|日本建設業連合会/会員企業労働時間調査報告書 2025年度通期|日本建設業連合会/一般職業紹介状況(令和8年3月分及び令和7年度分)|厚生労働省/令和6年雇用動向調査結果の概況|厚生労働省
それでも辞める人がいる:高卒40.9%、大卒26.8%という開き

学歴で結果が逆になる
厚生労働省が令和8年10月23日に公表した新規学卒就職者の離職状況(令和5年3月卒業者)では、建設業の就職後3年以内離職率は新規高卒で40.9%、新規大卒で26.8%でした。調査産業計は高卒36.9%、大卒31.2%です。
つまり高卒では建設業のほうが4.0ポイント辞めやすく、大卒では4.4ポイント辞めにくい。同じ産業なのに結果が逆です。1つ前の令和4年3月卒では高卒41.4%・大卒30.5%でしたから、どちらも下がってはいます。
この差を「きつい」「楽だ」のどちらかに丸めるのは乱暴です。高卒就職は技能職での入社が多く、大卒は技術者として入ることが多い。入口が違えば結果も違います。読み方は施工管理の離職率を扱った記事に整理しました。
同じ業界でも、事業所の規模で2.4〜2.5倍違う
同じ公表資料には、事業所規模別の3年以内離職率も載っています(こちらは全産業の数字です)。大卒は従業員5人未満の事業所で58.2%、1,000人以上で24.2%。高卒も5人未満61.3%、1,000人以上24.4%でした。
2.4〜2.5倍の開きです。産業の平均値より、入る会社の規模や体制のほうが「残るかどうか」に効くと読めます。施工管理の労働条件が会社ごとに大きく違う話も、ここと地続きです。
こういう人には向きません/20代が面接で確認すべきこと
数字を並べてきましたが、施工管理が向かない人もいます。工程・原価・品質・安全を同時に抱える仕事なので、次のような志向の人には苦しいはずです。
- 始業と終業が毎日同じ仕事がいい人(天候と検査日程で予定が動きます)
- 自分の作業だけに集中したい人(協力会社や施主との調整、書類作成が業務の大半です)
- 通勤先の変更を避けたい人(担当現場が変われば通う場所も変わります)
- 年間1,938時間という平均値を見て、自分には無理だと感じる人
検討を進めるなら、会社差を面接で潰しにいくのが現実的です。次の5つは求人票ではなく人に聞いてください。
- 一人が同時に担当する現場の数(1現場か、複数の掛け持ちか)
- 直近1年で、担当現場が4週8閉所を達成した割合
- 完全週休2日か、4週8休か、現場閉所に合わせた交替休みか
- 第一次検定・第二次検定の受検費用と学習時間の扱い(勤務時間内か自己負担か)
- 直近3年の20代の離職者数と、辞めた人の理由(答えられない会社は要注意)
条件を並べて比べたい方は施工管理の求人一覧へ。
参考:新規学卒就職者の離職状況(令和5年3月卒業者)|厚生労働省/別紙3 新規大卒就職者の離職状況|厚生労働省/別紙2 新規高卒就職者の離職状況|厚生労働省
よくある質問
結局、施工管理は若手に人気なのですか
「人気」と呼べる統計は見つかりませんでした。建設業の就業者数は減り、新規学卒者の就職も令和3年の4万4千人から令和6年の3万8千人へ減っています。一方で29歳以下比率は平成25年の10.2%から令和6年11.7%へ戻り、20代後半の賃金は全産業平均を超え、1級建築の第一次検定の受検者は約1.7倍。「人気になった」ではなく「条件が変わって、若手が入りやすく残りやすくなった」が実態に近い表現です。
20代未経験でも施工管理に入れますか
建設業は新卒より転職で人が入る産業です。厚生労働省の資料では建設業の入職者の約72%が転職入職者で、全産業の割合を上回ります。令和6年度からは1級の第一次検定が19歳以上で受けられるので、入社後すぐ資格の勉強を始められます。道筋は未経験で施工管理に転職できる理由をご覧ください。
休みは本当に増えているのですか
増えている範囲と、増えていない範囲があります。日建連会員企業の現場では4週8閉所以上が2019年度26.3%から2025年度67.2%へ。ただし完全週休2日制の企業割合は令和6年で建設業45.9%(全産業56.7%)、年間総実労働時間は1,938時間(全産業1,643時間)です。会社と工種で差が大きいので、平均値ではなく応募先の実績で確かめてください。
1級は19歳で合格できるものなのですか
第一次検定なら実例があります。令和8年度の1級土木第一次検定の合格者のうち19歳が1.0%、24歳以下の合計が19.8%で、大学等の在学者736名も合格しています。ただし「1級土木施工管理技士」になるには第二次検定が必要で、第一次検定合格後の実務経験5年以上(特定実務経験1年以上を含む場合は3年以上)が条件です。19歳で手が届くのは技士補までです。

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まとめ
確かめた結果を5つにまとめます。
- 「施工管理は若手に人気」と言える統計はない。就業者数は477万人まで減り、新規学卒者の就職者数も3年続けて減っている
- ただし29歳以下比率は平成25年の10.2%を底に令和6年11.7%へ。全産業が19.4%から16.9%へ下がる中で逆に動いた
- 20代後半の月額所定内給与は29.28万円で全産業27.94万円を上回り、伸び率も+7.2%と速い
- 令和6年度の受検資格改正で1級の第一次検定が19歳から受けられるようになり、令和8年度の1級土木では合格者の44.5%が29歳以下だった
- 一方で高卒の3年以内離職率は40.9%、年間労働時間は1,938時間。平均値より会社差が大きい
検討する価値があると感じたら、次にやるのは平均値探しではありません。応募先の現場数・閉所実績・資格支援を1社ずつ確かめることです。聞きにくい部分は施工管理の転職相談で代わりに確認します。求職者の利用は無料です。




