
「派遣社員として働き始めたけれど、思っていたのと違った」
「体調を崩してしまって続けられるか不安」など、「派遣を辞めたい」と感じることは誰にでもあります。
特に、派遣という働き方が初めての方は、「どうやって辞めたらいいんだろう?」「辞めることを派遣会社に伝えるのが怖い」といった、さまざまな不安や疑問を抱えているのではないでしょうか。
この記事では、「派遣を辞めたい」と思ったときに知っておくべきことを、派遣の仕組みの基本から、具体的な派遣 退職 方法まで、初心者の方にもわかりやすいように解説します。派遣社員が契約期間中に退職するためのステップや、辞める前に確認すべき注意点、円満退職のための伝え方などを網羅しています。
きっと、あなたが抱える不安が解消され、次のステップへ踏み出すための道筋が見えてくるはずです。

正社員と派遣社員では、退職の手順や考え方が大きく異なります。「派遣を辞めたい」と考え始めたら、まずはその違いを生む派遣の仕組みを理解することが大切です。
派遣社員として働く場合、あなたの雇用主は「派遣会社(派遣元)」であり、実際に働く場所は「派遣先企業」です。この関係を「三者関係」と呼びます。
- 派遣会社(雇用主)
給与の支払いや社会保険の手続き、福利厚生の提供、仕事の紹介、キャリアサポートなどを行います。- 派遣先企業(就業先)
実際の業務の指揮命令を行います。
正社員の場合、雇用主と就業先は同じ企業ですが、派遣社員は違います。そのため、退職の意思を伝える相手は、実際に働いている「派遣先企業」ではなく、**あなたと雇用契約を結んでいる「派遣会社」**になるのです。
派遣社員の働き方の特徴として、「有期雇用契約」であることが挙げられます。これは、雇用期間があらかじめ「3ヶ月」「6ヶ月」のように定められている契約です。
退職を考える際に最も重要になるのが、この契約期間です。
- 契約期間満了での退職
契約が終了するタイミングで辞める場合です。基本的には、契約期間満了の1ヶ月前など、派遣会社が定める時期までに「契約を更新しない」という意思を伝えればスムーズに退職できます。- 契約期間途中での退職
契約期間が終わる前に辞める場合です。これは原則として難しいとされていますが、やむを得ない事情がある場合は可能です。

「今の契約が満了するまで待てない」という、やむを得ない事情で契約期間中に派遣を辞めたいと考えることもあるでしょう。その際に知っておくべきルールと、具体的な手順を解説します。
民法では、有期雇用契約(期間の定めがある雇用契約)について、原則として「やむを得ない事由」がない限り、契約期間の途中で解約(退職)することはできないと定められています。
「やむを得ない事由」とは、以下のような、契約を続けることが困難な客観的な理由を指します。
- 心身の健康を損ない、就業が困難になった場合(病気・ケガなど)
- 家族の介護や看病が必要になった場合
- 派遣先でのハラスメントや契約内容との著しい相違がある場合
もちろん、正当な理由がなくとも、まずは派遣会社に相談してみることが重要です。派遣会社はあなたの雇用主として、事情を考慮し、派遣先企業と調整役を担ってくれるからです。
参考:民法 第628条(やむを得ない事由による雇用の解除) – e-Gov法令検索
「派遣を辞めたい」と思ったとき、まず取るべき行動は、派遣会社の営業担当者やコーディネーターに連絡することです。派遣先企業の上司や同僚に直接伝えてはいけません。
- 伝えるタイミング
辞めたい意思が固まったら、できるだけ早く連絡しましょう。退職希望日の1ヶ月前を目安にすることが多いですが、派遣会社との契約や就業規則によって異なります。- 伝える内容
「契約期間中に辞めたいと考えている」こと、およびその理由を正直に伝えます。- 注意点
電話やメールで連絡しても問題ありませんが、その後の話し合いは対面やオンラインミーティングなどで行う方がスムーズです。
派遣会社が、あなたの退職の意思を派遣先企業に伝えます。その後、以下の事項について調整が行われます。
- 最終出社日
派遣会社と派遣先企業、あなたの間で話し合い、退職日が決定されます。- 業務の引き継ぎ
後任者が決まっている場合は、業務内容や進捗状況などを後任者に丁寧に伝えます。円満退職のためにも、引き継ぎは責任をもって行いましょう。- 貸与品の返却
派遣先企業から借りている制服、IDカード、PC、携帯電話などを返却します。
退職日が決まったら、派遣会社の指示に従い、退職届の提出や健康保険証の返却など、必要な手続きを行います。
もしあなたが1年を超えて派遣社員として働いている場合、期間の定めのない雇用契約と同様に、いつでも解約を申し入れることができると法律で定められています。これは、雇用契約が通算で1年を超えた場合(契約更新を重ねた場合も含む)に適用される重要なルールです。
この場合も、まずは派遣会社に退職の意思を伝え、退職日を相談して決定するという手順は変わりません。参考:労働基準法 第137条(期間の定めのない労働契約への転換) – e-Gov法令検索

「辞めたい」という気持ちを伝えるのは勇気がいることです。
しかし、伝え方を工夫することで、派遣会社や派遣先企業との関係を悪化させず、スムーズに次のステップへ進むことができます。
退職理由を伝える際は、ネガティブな理由だけを述べるのは避け、前向きな姿勢を見せることが重要です。
| 悪い例(ネガティブな表現) | 良い例(ポジティブな表現への変換) |
| 「今の仕事がつまらない」 | 「より専門的なスキルを活かせる仕事にチャレンジしたい」 |
| 「人間関係が悪い」 | 「新しい環境で、視野を広げる経験を積みたい」 |
| 「残業が多くて体力が持たない」 | 「ワークライフバランスを重視できる働き方に変えたい」 |
派遣会社は、あなたの退職を円滑に進めるための調整役です。遠慮せず、あなたの状況や希望を正直に伝えましょう。
- 無理のない退職日を相談する
引き継ぎに必要な期間を考慮し、派遣会社と協力して退職日を決定します。- 次の仕事の相談も可能
退職理由が「キャリアアップしたい」「もっと違う職種に就きたい」といった前向きなものであれば、派遣会社に相談することで、次の仕事を紹介してもらえる可能性もあります。

衝動的に「辞めたい」と決断する前に、いくつかの重要な点を冷静に確認しておくことで、後悔のない退職を実現できます。
まずは、ご自身の雇用契約書と派遣会社の就業規則を再確認しましょう。
- 契約期間:いつからいつまでが契約期間か。
- 退職の申し出期限:退職を希望する場合、契約満了の何日前までに申し出なければならないか。
- 有給休暇の残日数:退職日までに消化できる有給休暇が残っているか。
就業規則に退職に関する具体的なルールが記載されているため、事前に目を通しておくと、話がスムーズに進みます。
派遣社員でも、法律に基づき有給休暇を取得する権利があります。
- 退職前の有給消化
退職日までに残っている有給休暇をまとめて消化したい場合は、派遣会社に相談しましょう。ただし、業務の引き継ぎ期間などを考慮して相談することがマナーです。- 買い取りの原則禁止
原則として、有給休暇を会社に買い取ってもらうことはできません。できるだけ消化することを目指しましょう。
退職後の生活に関わる重要な手続きも確認が必要です。
- 健康保険
退職後、すぐに次の仕事に就かない場合、国民健康保険への加入、家族の扶養に入る、または任意継続のいずれかの手続きが必要です。- 失業保険(雇用保険の基本手当)
雇用保険に加入していた場合、受給資格を満たしていれば失業保険を受け取ることができます。受給資格や金額は、派遣会社から発行される「離職票」をもとにハローワークで手続きを行います。特に自己都合退職の場合、通常2〜3ヶ月の給付制限期間があるため注意が必要です。
退職理由がネガティブなものだったとしても、次の転職活動では「退職理由をどう伝えるか」が重要になります。
- 一貫性のある説明
派遣会社に伝えた退職理由と、次の面接で話す退職理由に一貫性を持たせましょう。- 前向きな転職理由
「キャリアアップのため」「新しい職種に挑戦するため」など、ポジティブな言葉に置き換えて伝えることで、採用担当者にも良い印象を与えられます。

契約期間途中の退職は、心身の負担が大きい場合もあります。可能であれば、契約期間を満了して辞めるのが最も円満かつスムーズな退職方法です。
契約満了で退職する場合も、派遣会社への意思表示が必要です。
- 通知時期
契約更新の打診があるタイミングで、「今回は契約を更新しません」という意思を伝えます。一般的には、契約満了の1ヶ月前までには打診があります。- スムーズな流れ
派遣会社との契約書や就業規則に記載された期限を守って伝えれば、特別な理由がなくても問題なく退職できます。
契約満了が近づいたら、最後までプロ意識を持って業務にあたりましょう。
- 引き継ぎ資料の作成
後任者がスムーズに業務に入れるよう、わかりやすい引き継ぎ資料を作成します。- 最終日の挨拶
お世話になった派遣先の上司や同僚に、感謝の気持ちを込めて挨拶をしましょう。

「派遣を辞めたい」と感じる背景には、様々な理由があります。しかし、辞めることを決断する前に、その悩みを解決する方法があるかもしれません。
派遣社員でも、在宅勤務は可能です。
働き方の柔軟性という点で、最近は在宅勤務(リモートワーク・テレワーク)を導入している派遣先企業も増えています。
2024年の調査によると、派遣社員の約3割がリモートワークを「実施している」と回答しています。
在宅勤務を希望する場合は、派遣会社の担当者にその希望を伝え、在宅OKの求人を紹介してもらいましょう。
参考:派遣社員の意識・就労実態調査(2024年版) – マイナビキャリアリサーチラボ

「辞めたい」という悩みを解決し、新しいキャリアを築きたいと考えたとき、住宅業界での派遣という働き方も一つの選択肢になります。
住宅業界には、未経験から始められる仕事から、専門知識を活かせる仕事まで、多様な職種があります。
- 事務・営業サポート
契約書作成、資料整理、電話応対など。一般的な事務スキルがあれば挑戦可能で、残業が少ない案件も多くあります。- CADオペレーター
設計士が作成した図面をもとに、専用ソフト(CAD)を使って図面を清書する仕事。専門スキルが必要ですが、在宅勤務が可能な求人もあります。
もちろん、住宅業界以外の分野で派遣の仕事を検討している方も、ご自身の希望条件を詳しく派遣会社に伝えることで、最適な働き方を見つけることができます。「住まキャリ派遣」は住宅業界に特化したサービスですが、あなたのキャリアに関する幅広いご相談に応じていますので、気軽に相談してみてください。

住宅・不動産に特化した派遣サービス。未経験OK・ブランクありでも安心して新しい一歩を。
「派遣を辞めたい」と感じたとき、一番大切なのは一人で悩まず、まず派遣会社に相談することです。
派遣社員の退職は、正社員と異なり、契約期間の考え方が重要になりますが、やむを得ない事情がある場合は契約期間中でも退職は可能です。
派遣という働き方は、あなたのライフスタイルやキャリアプランに合わせて柔軟に働くことができる選択肢です。この記事を参考に、あなたにとって最適な「自分らしい働き方」を選び、自信を持って次のステップへ進んでください。