2026年4月、男女の賃金差の公表義務が101人以上の企業へ拡大|住宅・不動産の求人票をどう読み替えるか

2026年4月から、男女の賃金の差(男女間賃金差異)と女性管理職の割合を公表する義務が、常用労働者101人以上の企業に広がりました。

これまで賃金差の公表義務は301人以上の企業だけでしたが、2025年6月に公布された改正女性活躍推進法の施行で、中堅の住宅会社・工務店・不動産会社の多くも対象になります。転職を考える女性にとっては、会社を比べる材料が一気に増えたことになります。

ただし、歩合の比率が高い住宅・不動産業界では、この数字の読み方に注意が必要です。この記事では、公表データの見方と、求人票を読み替えるポイントを解説します。

この記事の30秒まとめ
  • 2026年4月から、101人以上の企業に「男女の賃金差」と「女性管理職の割合」の公表が義務づけられた
  • 住宅・不動産業界の賃金差は、同じ仕事の給与差より「どの職種に男女がいるか」の差を映しやすい
  • 数字は「職種構成」「歩合の比率」「女性管理職の割合」とセットで読む
  • 301人以上の企業の平均は、男性を100としたとき女性69.5(正規雇用75.2)。自社の数字を比べる目安になる
  • 公表データは厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」や企業サイトで確認できる
目次

何が変わったのか

公表する項目 改正前 2026年4月から
男女間賃金差異 301人以上の企業に義務 101人以上の企業に義務
女性管理職比率 選択して公表する項目の1つ 101人以上の企業に義務

賃金差は「男性の平均賃金に対する女性の平均賃金の割合(%)」で示され、全労働者・正規雇用・非正規雇用の3つに分けて公表されます。公表は事業年度ごとで、終わった事業年度の実績を、次の事業年度が始まってからおおむね3か月以内に出します(3月決算の会社なら6月末まで)。公表先は自社のホームページか、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」です。

あわせて、2026年3月末までだった法律の期限が2036年3月末まで10年延長され、職場のハラスメント対策や、女性の健康上の特性への配慮も盛り込まれました。

まず知っておきたい目安:301人以上の企業の平均

すでに公表が義務だった301人以上の企業について、厚生労働省が公表値を集計しています(対象企業17,370社のうち公表していた14,577社の平均、2024年1月19日時点)。

区分 男性を100としたときの女性の賃金
全労働者 69.5
正規雇用労働者 75.2
非正規雇用労働者 80.2

気になる会社の数字がこの平均より高いか低いかは、ひとつの目安になります。ただし、次の章で説明するとおり、住宅・不動産業界ではこの数字をそのまま比べられない事情があります。

住宅・不動産業界で、数字をそのまま比べてはいけない理由

職種の構成で、差が大きく見える

住宅・不動産会社では、歩合で年収が大きく伸びる営業職に男性が多く、固定給中心の事務職・アシスタント職に女性が多い会社がまだ少なくありません。この場合、同じ仕事をしている男女の給与が同じでも、会社全体の平均では大きな差が出ます。

歩合の比率で、年ごとにぶれる

売上の良い年は営業職の歩合が増え、賃金差が広がって見えることがあります。1年分の数字だけで判断せず、複数年の推移を見るのがおすすめです。

「差が小さい」が良い会社とは限らない

女性の営業職や管理職が多い会社は差が小さくなりやすい一方、全員が固定給で歩合のない会社も差は小さくなります。差の大きさより、差が何から生まれているかを考えることが大切です。

公表データと求人票をどう組み合わせて読むか

  1. 女性管理職の割合を見る:女性が昇進している会社かどうかの、いちばん分かりやすい手がかりです
  2. 正規雇用の賃金差を見る:パート・契約の比率に左右されにくい数字です
  3. 求人票の固定給と歩合の内訳を見る:同じ職種で応募するなら、自分が受け取る給与の決まり方を確認します
  4. 会社の説明を読む:差の理由や改善の取り組みを説明欄に書いている会社は、課題を自覚している会社です

面接で直接聞きにくいことは、転職エージェントを通じて確認できます。「女性の営業職は何人いて、平均でどのくらいの年収か」「産休・育休から復帰した人は何人いるか」といった質問は、エージェント経由のほうが具体的な答えを得やすくなります。

まとめ:数字は「会社を見る入口」として使う

公表義務の拡大で、これまで外からは見えなかった中堅の住宅会社・不動産会社の数字が見えるようになりました。ただし、数字は会社を判断する答えではなく、面接やエージェントに何を聞くかを決める入口として使うのが現実的です。

住まキャリの女性キャリア相談デスクでは、人材紹介15年の国家資格キャリアコンサルタントと、不動産実務の経験を持つ宅地建物取引士が、会社ごとの実態を含めてご相談をお受けしています。会社選びの5つの条件は女性が住宅・不動産業界で働くという選択で解説しています。

参考資料

※制度の内容は2026年10月7日に上記の厚生労働省資料で確認した情報です。

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