住宅営業は、「離職率が高い」「残業が多く休みが取りづらい」といったマイナスイメージがあります。
インセンティブで高収入が得られる魅力的な仕事ですが、なぜ離職率が高いと言われているのでしょうか。
- 住宅営業の離職率が高いと誤解される5つの理由
- 公的データ(厚生労働省)から見る住宅・不動産業界のリアルな離職率
- 他業種と比較した住宅業界の定着率の水準
- 「反響営業」や「IT化」など、離職を防ぐ業界の最新動向
- 住宅営業への転職で得られる3つのキャリアメリット
- 自分に合った「離職率の低い企業」を見極めるための視点
本記事では、住宅営業の離職の本当の理由と業界の実態を徹底解説。この情報を参考に、あなたのキャリアプランを考えるヒントにしてください。
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住宅営業の離職率が高いといわれる本当の理由は?

なぜか住宅営業は「離職率が高い」というイメージを持たれる場合があります。
考えられる理由は以下のとおりです。
- ノルマの達成が求められる
- 長時間労働になりがち
- 飛び込み営業を強いられる場合もある
- 社内の体制が古くついていけない
- 同業他社の求人が多い
一つずつ見ていきましょう。
ノルマの達成が求められる
営業成績に基づくノルマが課せられる企業があります。ノルマは単月での達成だけでなく、継続した成果が求められます。
未達成が続くとモチベーションが低下し、業界から離れるケースもあり、競争の激化などによるストレスフルな環境も、離職の要因の一つです。
一方で、ノルマのないハウスメーカーや不動産会社もあります。こうした企業では精神的な余裕が生まれ、社員の定着率も安定しています。
長時間労働になりがち
住宅営業は顧客の都合に合わせた働き方が基本です。土日出勤や時間外での打ち合わせ、商談なども多くなります。
不規則な勤務時間はプライベートや休息の時間を確保しづらく、心身の疲労につながります。特に、将来家庭を持ちたい20~30代の方にとって大きな課題です。
ただ最近では、チーム制の導入で連休取得や土日の休暇調整がしやすい企業も増加しています。結婚後や出産後も活躍する女性社員も多くなっています。
飛び込み営業を強いられる場合もある
企業によっては、飛び込み営業を行う場合もあります。飛び込み営業は、門払いや厳しい口調で断られるケースもあり、モチベーションが低下し離職率の高さにつながります。
また、新規の見込み客を一から開拓するケースもあるため、相当なタフさが求められます。
一方で、住宅営業には飛び込み営業やテレアポ以外の営業方法も存在します。たとえば、折込チラシやネット広告経由の問い合わせに営業をかける「反響営業」が挙げられます。
反響営業は、転居や住宅購入のニーズが顕在化した顧客が対象となるため、成約率も高く営業効率を向上しやすいというメリットもあります。ノルマのない企業や反響営業を行う住宅営業など、自分の適性に合った企業を選ぶことが大切です。
社内の体制が古くついていけない
住宅業界には、体育会系の社風や、先輩後輩の厳しい上下関係が残る企業があります。
また、IT化が遅れ、物件や顧客情報を書類や手作業で管理している会社も多いです。このような従来型の企業体制に違和感を感じ、退職を考える方もいます。
一方で業界も変化しており、不動産テックの活用で業務のIT化が進み、働き方改革で残業も減少傾向です。物件情報の管理から契約まで、効率的な営業活動ができる環境が整ってきています。
同業他社の求人が多い
国土交通省の調査によると、宅地建物取引業者数は令和7年3月末時点で132,291業者でした。平成25年度の122,127社から11年連続で増加を続けています。
参考:報道発表資料:令和6年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果について~宅地建物取引業者数は11年連続で増加~ – 国土交通省
転職サイトでも住宅業界の求人は多く、業務内容も似ているため転職のハードルは低めになります。同業他社への転職者が多いのも、離職率が高く見える要因の一つです。
キャリアアドバイザー 小竹住宅業界の離職率を調査


次に住宅業界全体の離職率についてみていきましょう。
厚生労働省の雇用動向調査は、産業別の入職・離職の状況を把握するための資料です。「不動産業、物品賃貸業」の数値を、住宅営業だけの離職率として読み替えないようにしましょう。
他業種の離職率と比較
以下の表では、離職率が高い順に業界を比較しました。
| 産業別 | 離職率(%) |
|---|---|
| 宿泊業・飲食サービス業 | 26.8 |
| サービス業(他に分類されていないもの) | 19.4 |
| 生活関連サービス業・娯楽業 | 18.7 |
| 医療・福祉 | 15.3 |
| 教育・学習支援業 | 15.2 |
| 卸売業・小売業 | 14.6 |
| 不動産業・物品賃貸業 | 13.5 |
| 運輸業・郵便業 | 12.3 |
| 情報通信業 | 11.9 |
| 複合サービス事業 | 11.0 |
| 電気・ガス・熱供給・水道業 | 10.7 |
| 製造業 | 10.2 |
| 建設業 | 10.5 |
| 学術研究・専門・技術サービス業 | 10.0 |
| 金融業・保険業 | 8.3 |
| 鉱業・採石業・砂利採取業 | 6.3 |
産業平均は、自分の職場で感じている負担を否定する材料にはなりません。



住宅業界の最近の動向
住宅業界の入職超過率はプラスに転じています。つまり、業界に入ってくる人が辞める人より増えており、業界全体として安定した傾向が見られます。
参考:厚生労働省「令和4年雇用動向調査結果」13ページ 図3-2産業別入職超過率
住宅業界の転職市場の動向については以下の記事も参考にしてください。




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住宅営業の離職率は企業によって変わる
住宅営業の離職率は、実際には企業によって大きく異なります。やりがいのある仕事なだけに、企業の体制や社風が合えば、高い成果と収入も望めます。
一方で、現在の環境で働きづらさを感じている方は、別の企業でなら活躍できる可能性も十分にあります。



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住宅営業の転職で得られるメリット


データで見ると、住宅業界の離職率は他業界と比べて特別高いわけではありません。むしろ、営業経験を活かしてステップアップできる可能性が高い業界といえます。
住宅営業経験者はもちろん、他業界で営業経験をお持ちの方にとっても、魅力的なキャリア選択肢となるでしょう。
- 基本的な営業スキルが活きる環境
- 経験を活かした待遇アップが狙える
- 新しい住宅営業に挑戦できる
基本的な営業スキルが活きる環境
営業経験者なら、どの業界でも培ってきたヒアリング力や提案力が強みになります。
特に住宅営業では、お客様との信頼関係づくりが重視され、じっくりと商談を進められる環境が整っています。BtoCの営業経験があれば、その経験を十分に活かせるでしょう。
経験を活かした待遇アップが狙える
住宅営業では、営業経験者の即戦力としての価値が高く評価されます。
インセンティブ制度の充実した企業も多く、これまでの経験を収入アップにつなげるチャンスは豊富です。企業によって評価制度は様々なため、自分の営業スタイルに合った選択肢を見つけやすいでしょう。
新しい住宅営業に挑戦できる
住宅業界は今、大きな変革期を迎えています。スマートハウスやサステナブル住宅など新しい分野が広がり、リノベーション市場も拡大。さらに、海外展開を進める企業も増えています。



定着率が高いホワイト住宅企業に共通する3つの特徴
住宅業界の中でも、離職率が低く社員の満足度が高い「ホワイト企業」には、共通した組織の仕組みがあります。
単に「仲が良い」といった雰囲気だけでなく、以下の3つの構造に注目しましょう。
1. 営業と設計・事務の「完全分業制」が確立されている
定着率が低い企業では、営業担当が住宅ローン手続き、設計図面のチェック、工事手配、さらには引き渡し後のクレーム対応まで一人で抱え込み、キャパシティオーバーになるケースが散見されます。
一方、ホワイト企業では、営業は「お客様との信頼構築と提案」に専念できるよう、専門の設計士やインテリアコーディネーター、事務スタッフとの分業体制が整っています。
これにより残業が抑制され、本来の付加価値の高い仕事に集中できるため、仕事のやりがいと私生活の両立が可能になります。
2. 「チーム制」による接客とバックアップ体制
個人の数字のみを追う「完全歩合・個人主義」の会社は、休日にお客様から連絡が入ると自分一人で対応せざるを得ません。
定着率が高い企業は、チームで顧客情報を共有する「チーム担当制」を導入していることが多いのが特徴です。
誰かが休みの日は他のメンバーがフォローする体制があるため、罪悪感なく振替休日を取得でき、精神的なゆとりが生まれます。
3. 明確な「中長期キャリアパス」と教育制度
「売ればOK」という短期的な評価だけでなく、5年後、10年後にどのような役職(マネージャー、専門スペシャリスト、本部スタッフなど)を目指せるかが示されている企業は定着率が高まります。
住宅業界では、新人や現所属社員の育成が重要な課題とされており、効果的な人材育成としてメンター制度の導入、営業ロープレの時間確保、部下が話しやすい雰囲気づくり、業務効率化ツールの導入などが提案されています。
特に、宅建士や建築士、ファイナンシャルプランナーなどの資格取得支援が手厚く、個人の市場価値を高めることを推奨する文化がある企業は、社員を「使い捨て」にせず「資産」として大切にしている証拠です。


離職率だけで判断してはいけない「ポジティブな退職」の正体
「離職率が高い=ブラック企業」と直結させてしまいがちですが、住宅業界においては、必ずしもそうとは言い切れない側面があります。
実は、業界特有の「前向きな理由による流動性」が含まれているからです。
1. 独立・起業による「卒業」
住宅営業は、土地・建物・税務・ローンと、ビジネスに必要なあらゆる知識が身につく仕事です。
経験を積んだ後、工務店や不動産仲介などで独立を検討する道もあります。ただし、必要な免許・資金・顧客基盤などは事業内容によって異なり、他業界より独立が多いと一律には判断できません。
このような「卒業」による離職は、その企業が優れた人材を育成した証でもあります。
2. 同業大手への「ステップアップ転職」
地場工務店で頭角を現した営業職が、より高単価でインセンティブ率の高い大手ハウスメーカーへ引き抜かれたり、自ら挑戦したりするケースです。
住宅業界は「実績さえあればどこでも通用する」ため、より良い条件を求めて自発的に外へ出る「攻めの離職」が一定数存在します。
3. 業界内での「専門特化」への転身
住宅営業の経験を活かし、リフォーム専門会社やマンションデベロッパー、あるいは住設メーカー(キッチンやトイレのメーカー)など、より自分の興味がある専門分野へ転身するパターンです。
見極めのポイント
大切なのは離職率の「数字」そのものではなく、「なぜ辞めたのか」という質です。
面接やエージェントを通じて、「退職した方の主な理由は?」「独立したOBとの交流はあるか?」などを確認することで、その企業の本当の健全性が見えてきます。
結論:住宅営業の離職率は高いとは言えない。転職検討もOK


住宅業界全体を見ると決して離職率は高いとは言えず、世間的なイメージが先行して、住宅営業の離職率が高いとされているのではないでしょうか。
企業によっての内部事情は変わるため、離職率だけを考えて自己判断せず、多角的に情報をとらえて転職を考えていくのがいいでしょう。
自分に合った企業を見つけるための比較と次のステップ
住宅営業の離職率は世間のイメージほど高くなく、働きやすい環境の企業も増えています。しかし、自分にとって最適な企業を見つけるには、多角的な視点での情報収集が不可欠です。
以下の比較表を参考に、あなたのキャリアプランを具体的に考えてみましょう。
| 比較項目 | 今の会社に残る | 環境を変える(転職) | まず情報を集める |
|---|---|---|---|
| 得られるもの | 慣れた環境での安定、既存人間関係の維持、現状維持の安心感 | 新しいスキルや経験、待遇改善の可能性、キャリアアップ、働き方の改善 | 業界の最新動向、企業の実態、自身の市場価値、転職の選択肢 |
| 失うもの | 成長機会の逸失、不満の継続、モチベーション低下、市場価値の停滞 | 慣れた環境、人間関係、転職活動の労力、一時的な不安定さ | 行動しないことによる機会損失、現状維持の継続 |
| 必要な行動 | 現状分析、自己改善、社内での異動・交渉、不満の受容 | 自己分析、求人検索、応募書類作成、面接対策、情報収集 | 業界研究、企業研究、キャリア相談、情報収集サイトの活用 |
| リスク | 働きがいや成長の停滞、心身の不調、将来的なキャリアの閉塞感 | 転職先のミスマッチ、一時的な収入減、人間関係の再構築 | 誤った情報に基づく判断、行動の遅れによる機会損失、不安の継続 |
| 判断のポイント | 自身のキャリア目標と現状のギャップ、会社への貢献度と評価 | 自身のスキルと市場価値、希望する働き方と企業の適合性 | 信頼できる情報源の選定、客観的な視点での自己分析 |
この比較表からもわかるように、まずは「情報を集める」ことが、納得のいくキャリア選択への第一歩です。特に、ネットには公開されていない「配属部門の定着状況と退職理由、残業・休日対応、目標設定や教育体制」といった一次情報は、プロのキャリアアドバイザーに聞くことで確認できます。
あなたの営業経験やキャリアプランがどの企業で最も活かせるか、客観的な視点でアドバイスを受けたい場合は、ぜひ専門家への相談も検討してみてください。












