2025年には日本の高齢者人口が急増し、労働力が減少する「2025年問題」が迫っています。特に住宅・不動産業界も大きな課題に直面する可能性が高いです。この記事では、2025年問題が住宅・不動産業界にどのような影響を与え、どのような人事戦略が求められるのかについて詳しく解説していきます。
2025年問題とは、日本が急速に高齢化していく中で直面する一連の社会・経済的課題を指します。その中で注目すべきは、2025年に「団塊の世代」が75歳以上になることで、65歳以上の高齢者が総人口に占める割合が約30%に達すると予測されている点です。
これまでにない高齢化が進むことで、医療・介護の需要が急増し、労働力人口の減少と合わさって、経済にも大きな影響を与えると考えられます。
内閣府の「令和4年版高齢社会白書」によると、2065年(令和47年)には、約3.9人に1人が75歳以上になると推計されています。
出典:内閣府「令和4年版高齢社会白書」
多くの産業に影響を与える2025年問題は、企業の採用面や人事戦略にもさまざまな課題を引き起こします。
内閣府の先の資料によると、昭和25年(1950年)には65歳以上の高齢者1人に対して労働年齢人口(15~64歳)が12.1人いました。しかし、この比率は令和2年(2020年)には2.1人にまで低下しています。
つまり、高齢者が増えている一方で、労働を担当できる年齢層の人が減っているということを意味します。この傾向が続けば、各企業にとって新規採用は一層困難になり、人材競争も激化する可能性があります。
帝国データバンクの全国企業「後継者不在率」動向調査(2022年)によれば、全国・全業種約27万社において後継者が「いない」または「未定」とした企業は全国で15.4万社に上りました。加えて「後継者がいたのに2022年になって後継者が不在になった」ことが理由で、計画を中止または取り消した企業が全体の0.6%(約1600社)となりました。
データから読み取れるように、注意が必要な状況ですが、2025年以降に経営層が高齢化することで、後継者不足はさらに顕著になるでしょう。
出典:帝国データバンク
後継者不足が引き起こす倒産の詳細は以下の記事にまとめています。
最近の調査結果によれば、今後数十年で新築住宅の着工件数が減少する一方で、既存住宅の流通量が増加するという見通しもあります。空き家数はますます増加し、住宅を新たに購入しようと検討する世帯(持家需要)は減少するでしょう。
この傾向は、新築住宅に強みを持つハウスメーカーも影響を受けます。具体的には、持家需要の減少に伴い、新たな施策や戦略が今後ますます求められる状況です。
さらに、2025年4月以降は、全ての新築住宅・非住宅に「省エネ基準」の遵守が義務付けられるため、企業の人材ニーズにも変動をもたらします。例えば、既存住宅の有効活用が見直されることで、リノベーションやリフォームに特化した専門職の需要が高まる可能性があります。
人事担当者は、これらの動きをしっかりと把握し、早期の対策を練る必要があります。関連する資格や専門知識を持つ人材の採用はもちろん、既存の人材に対しても適切な研修や教育プログラムを提供することが求められます。
業界の変動に合わせた適切な人材採用を始めるには、住宅・不動産業界に精通したユナイテッドマインドジャパンまでお問い合わせください。
ここまで2025年問題に焦点を当てて解説してきましたが、企業が考慮すべき課題はこれが全てではありません。2024年には労働法の改正や働き方改革によって、労働市場が大きく変動する可能性があります。具体的には、労働時間の規制強化や、非正規労働者の保護強化などが該当します。
詳細については、以下で解説しています。
2025年問題に対して企業ができる対策は一つではありません。各企業が直面する課題は多様であり、それぞれの状況、業界特性、地域経済といった多くの要素が関わっています。
本記事では基本的な人事戦略に焦点を当てていますが、現実の課題に対処するためには、より多角的かつ柔軟なアプローチが必要です。
2025年問題を乗り越えるためには、従来の人材確保の方法を見直し、多様な人材を活用する新しい人事戦略が求められます。政府もこれを支援する形で「ダイバーシティ経営」に力を入れており、企業が目指すべき方向性として以下のポイントが挙げられています。
特に50代60代のシニアや女性、外国人など、多様なバックグラウンドを持つ人材も積極的に採用することで、企業全体の適応力が高まる可能性があります。
参考:経産省「ダイバーシティ経営の推進」
2025年問題がもたらす人材流動の変化に対応するため、企業はただ採用するだけでなく、新入社員がしっかりと会社に定着するような環境を整える必要があります。
採用後のオンボーディングは特に重要であり、新入社員が会社に溶け込みやすく、結果として離職率も下がる可能性が高まります。その中で、福利厚生やキャリアパスの適切な設計がキーとなります。
採用後の人材定着の施策については、以下の記事に詳しくまとめています。
住宅・不動産業界において、高度な顧客サービスが求められる環境下では、業務プロセスの効率化は避けて通れない課題です。近年、多くのITベンチャー企業が市場に参入しており、RPA(ロボットプロセスオートメーション)やAIなど、多様な効率化ソリューションが提供されています。
ここで重要なのは、企業が成長するには、新規の人材採用だけに焦点を当てるのではなく、既存業務の効率化にも注力することが有用であるという点です。
このようなテクノロジーを活用することで、労働力不足を補完し、社員一人一人の働きがいも向上します。その結果、働きやすい環境が整い、企業全体の生産性と収益性が高まるでしょう。
2025年問題に備えるには、単なる人材採用に止まらない多角的な人事戦略が求められます。新規採用だけでなく、業務効率化や生産性向上にも目を向け、それらを総合的に進めることが企業の持続可能な成長に寄与します。
当社はこれらの課題に対応するために、住宅・不動産業界に特化した人材紹介サービスを提供しています。最適な人材のマッチングを行い、入社後のフォローも積極的に行っています。
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